「かわいい女の子を描くのは苦手だった」NFTクリエイター「おにぎりまん」の意外な原点

NFTコレクション「cute girl」の取引総額が250ETH(約8000万円)を超える、人気イラストレーター「おにぎりまん」さん。NFTとの出会いを語ったインタビュー前編に続き、後編ではイラストを描き始めたころの意外なエピソードや、作品に込めた思いなどを聞きました。

友人の「厳しすぎる」一言に奮起

――cute girlはかわいくてポップな女性イラストのコレクションですが、そうしたイラストを描き始めた原体験のようなものはありますか?

中学生のころ、大好きだったマンガは「ジョジョの奇妙の冒険」でした。そんなタッチの絵をたくさん書いていて、イラストは次第に上達してきたのですが「かわいい女の子のイラストは実は苦手だったんです。

実際、友達に「女の子を描いて」と言われ、描いてみせると「かわいくない」と言われてしまった。いまとは全然違うテイストだったんですよ。それで奮起して、女の子をかわいく描く練習を始めたのが第一歩です。

――いまでは「苦手」なんて全く想像できないですが(笑)。子ども時代から、ずっとイラストを書いていたんですね。

小学校のころは、間違いなく周囲から「変人」と思われていたはずです。黙りこくって、いろいろな空想・妄想をするのが好きだったので……。今もあまり変わっていないですね。

その後もイラストは続けていたのですが「気ままに描いている」というスタンスが変わってきたのは、3年ぐらい前からです。そのころから「どうやってかわいく描くか」を研究するようになりました。

絵をツイッター投稿し反響をいただくようになって、だんだん「こういう仕草がかわいい」とか「こういう描写だと人気が出る」といったことが、把握できるようになってきたのです。

表現したい「かわいさ」とは?

(onigiriman via OpenSea)

――おにぎりまんさんが表現したい「かわいさ」って、どんなものなのですか?

作品のポイントは、自分の感覚、フェティシズムを存分に表現するということなので、それをバラすことになるんですが(笑)

いま自分自身が一番描きたいのは、一言でいうと「大人の余裕のあるお姉さん」ですね。自分が表現したい「かわいさ」はそこにあると思っています。ちょっとからかわれるような……そういうテイストが好きなんですよ。

――クールさとか、ちょっと謎めいた感じは、今のクリプトアートの雰囲気とも合致するのかもしれないですね。日々のインスピレーションは、どういうところから得ているのですか?

主に出勤時と、カフェで作業しているときですね。魅力的な人、魅力的な瞬間を見かけて「あ、描きたい」と思います。そのイメージをもとに「ああいうステキな人が、こんな表情をしていたら」とか、思いついたアイデアを蓄積していっています。

現場でスケッチするとかメモをするのではなく、後で「さあ、描くぞ」となったときに、記憶に残っているおぼろげなイメージを思い返すという感じです。

東京には、描きたくなるような人がたくさんいるので、インスピレーションは尽きないですね。

おにぎりまんさんの制作風景 (onigiriman via twitter)

「複業」なのに驚異の制作ペース

――会社員として働きながらの「複業」なのに、平均すると作品を1日1作品以上のペースで発表されているように思えるのですが、どうやって創作ペースを維持できているのですか?

会社の仕事はイラストと無関係ですが、勤務のある日は9時出勤、20時退勤ぐらいで働いています。

会社員としての自分と、イラストレーターとしての自分は、通勤のタイミングで切り替わります。幸いなことに自分は実家暮らしで、家族がイラストレーターの活動も応援してくれているんです。会社の仕事を続けながら、1日数時間イラストを描けるのは、それがめちゃくちゃ大きいです。

――1作品あたり、どれぐらいの時間で描かれているんですか?

「こういう絵にしよう」と決めてから完成まで、だいたい平均1時間半〜2時間ぐらいです。このフォーマットで描くのに慣れてきた2021年の5月ぐらいからは、だいたいこのペースで描いています。

思いついたアイデアを、頭の中でイメージにしていくスピードに、だんだん自分の手が追いつくようになってきたという感じですね。

――2021年の「NFTフィーバー」を、どんな風に受け止めていらっしゃいましたか?

なんといっても、作品が売れて嬉しかったですね。ただ、いちど自分の作品が5ETHで取引されたときに、ちょっと「ヤバい盛り上がり方をしているんじゃないか」と不安になった瞬間はありました。このままだと熱気が冷めちゃうんじゃないかな、とか。

でも今は「思ったよりも、熱が冷める様子はないな」と感じています。

「チーム」を組む動きも増えてきた。

――盛り上がり方は、以前と比べて変わってきましたか?

そうですね。相変わらず盛り上がってはいるんですが、クリエイターもコレクターも、地に足のついた動きをするようになってきた感じがあります。クリエイター側も、コレクションを創るためのロードマップを公開したりだとか。焦って「作らなきゃ」というよりは、しっかりと将来も見据えて、試行錯誤して、良いものを出していこうと考える人が多くなってきたと思います。

もう一つ面白い動きは、みんなが「チーム」を組み始めていることです。例えばですが、クリエイターとコレクターがコミュニティで交流していく中で、最初は「1ファン」だった人が、クリエイターと一緒に新たなNFT作品を創り出したりしている。プロデューサー的な役割を担う人とか、技術的なサポートをする人だとか、本当にいろいろな方がいらっしゃるので。

2021年の終わりにかけて、そういう動きが目立ってきました。私はいまのところ、個人制作を続ける予定ですが、他のクリエイターさんたちとコラボはしていきたいと思っています。

――いまの目標、課題は?

課題の一つは海外のコレクターにどうアプローチするかです。答えの一つがFoundationへの出品だと思います。クオリティの高いNFTアートを扱う招待制のオークションサイトなんですが、入札の重なった注目作品はトップページに表示されたりして、そうすると世界中の方に見てもらえます。そこが手っ取り早いというか、わかりやすい。

OpenSeaは取引サイト内で作品を目立たせる仕組みがあまりないので、外のSNSで宣伝していくしかない。だから今後、もっと海外ファン層が広げられそうなタイミングが来たら、通訳をお願いすることがあるかもしれないです。

ただ、どんどん環境が整備されていっているので、今後は作品をファンに知ってもらう・届ける手法が、どんどん多様化していくのではないでしょうか。

私の作品を大勢の方に知ってもらえたのは、ツイッターなどで交流していたコミュニティの方々が、全くの無名だった私の作品を購入してくれたり、紹介してくれたりしたからです。私自身も今後は、色々なクリエイターさんとコラボをしたり、作品をSNSで紹介したりすることを通じて、NFTアートの盛り上がりに貢献していきたいと思っています。

※インタビュー前編〈忘れてた→半年で数千万円の取引 24歳の兼業イラストレーター「おにぎりまん」が経験した奇跡〉はこちら。

編集部のおすすめ記事

新着記事